農業と科学 平成20年12月
本号の内容
§マイクロロングを用いたヤマアジサイの小鉢生産
福岡県八女地域農業改良普及センター
野菜花き課 花き係長 松野 孝敏
(前 福岡県農業総合試験場花き部)
§熊本県水俣・芦北地域におけるサラダたまねぎ「サラたまちゃん」の取り組み
熊本県あしきた農業協同組合
サラたまちゃん部会
部会長 田畑 和雄
§花壇苗生産における肥効調節型肥料の利用
大阪府環境農林水産総合研究所
主任研究員 内山 知二
§2008年本誌既刊総目次
福岡県八女地域農業改良普及センター
野菜花き課 花き係長 松野 孝敏
(前 福岡県農業総合試験場花き部)
シクラメンの組み合わせ品目として生産される機会の多い鉢物アジサイの主な品種は,西洋アジサイと呼ばれる品種群に属し,日本原産のアジサイを中心に育成されたものである(鶴島,1972;上町ら,2002)。近年,福岡県では鉢物需要の多様化に対応して,西洋アジサイにない可憐な草姿の魅力をもつヤマアジサイの商品化に取り組む生産者が増加している。
ヤマアジサイは日本原産の落葉低木で,北海道から九州まで広く分布している。アジサイが沿海地の林下や林縁などに自生するのに対して,ヤマアジサイは山間の谷間や林床に広く自生し,別名サワアジサイともよばれている(大場,1989)。
ヤマアジサイの花芽は10月下旬から11月にかけて新梢の頂部および腋芽に形成され,11月中下旬に雄ずいおよび雌ずいを形成し,自発休眠に入る(松野ら,2008)。
アジサイの鉢物生産では,出荷前年の春に挿し木して育面する。育苗では花芽数を確保することが重要である。さらに,小鉢生産ではコンパクトな苗を生産することもあわせて重要である。今回,マイクロロングを用いたヤマアジサイの小鉢生産技術について検討したので報告する。
試験は福岡県農業総合試験場花き部(福岡県筑紫野市)において2004~2006年にかけて実施した。
各試験とも供試品種に’クレナイ’を用い,鉢上げ後のかん水はすべて樋式底面給水方法により常時給水した。鉢上げ用土は,調整ピート30%+粉砕杉皮30%+腐葉土10%+パーライト10%+赤玉土20%(容積比)を混合したものを用いた。
マイクロロングトータル201-100タイプ(N-P2O5-K2O=12-10-11)を用い,施肥量は1鉢当り2gと4g(ただし,6月30日処理は4gのみ)の2水準,施肥時期は鉢上げ2週間後(6月30日),同6週間後(7月28日)および同10週間後(8月25日)の3水準の組み合わせ処理とした。試験規模は1区20鉢とした。育苗は,調整ピートを入れた6cm黒ボリポットに1節に調整した挿し穂を用い,鉢当り3本を2004年5月21日に挿し木した。鉢上げ容器は11.2cm径底面給水鉢(容積:500ml)を用い,2004年6月18日に鉢上げした。試験はシルバーダイオネット被覆下のパイプビニルハウスで行った。
試験の結果を表1,写真1に示した。施肥量4g/鉢では,8月25日処理で1次側枝数が8.7本となり少なかった。1次側枝長は,7月28以降の処理で18.4cmとなり,6月30日処理の27.2cmよりも短くなった。2次側枝数は,6月30日処理が4.2本となり,施肥時期が遅くなるほど少なくなる傾向が見られたが,6月30日と7月28日処理に有意な差は見られなかった。6月30日処理は過繁茂となり,小鉢生産には使えない苗となった。花房数は処理区間に差が見られなかった。
施肥量2g/鉢では,7月28日処理と8月25日処理で1次側枝数に差は見られなかった。1次側枝長は処理時期が遅いほど短くなり,2次側枝数は少なくなった。開花数は7月28日処理が19.9個で8月25日の4.6個より多く,4g/鉢区と同等であった。


以上の結果から,ヤマアジサイ’クレナイ’の小鉢生産のための育苗にマイクロロングトータル201-100タイプを用いる場合には,7月下旬に鉢当り2~4gが適すると考えられた。また,より小型の苗を生産する目的で施肥時期を8月下旬とする場合には,鉢当り4gが適すると考えられた。
試験区は,ペレット状肥料Bの1鉢当たり2g(N-P2O5-K2O=10-10-10 2g/粒),ペレット状肥料Pの1鉢当たり1.5g(N-P2O5-K2O=12-12-12 1.5g/粒),マイクロロングトータル201-100タイプの1鉢当たり2g,4gおよび6g/鉢(N-P2O5-K2O=12-10-11),無処理の6区を設けた。施肥は2006年3月2日に行い,試験規模は1区10鉢とした。育苗は2005年6月9日に128穴のセル成型トレイを用いて挿し木した苗を,7月19日に9cm径黒ポリポットに鉢上げし、8月25日にダミノジット4,000ppmを散布した。定植は2006年2月1日に12cm径底面給水鉢を用いて行い,栽培温度は夜間最低気温13℃とし,25℃で天窓により自動換気した。試験は硬質板ハウスで行った。
試験結果を表2,写真2に示した。草丈は無処理が24.2cmとやや低くなったが,施肥方法による差は見られなかった。株径はマイクロロングトータル6g/鉢が36.7cmで最も大きく,ペレット状肥料B,ペレット状肥料P,マイクロロングトータル2g/鉢,4g/鉢に有意な差は見られなかった。無処理区の花房数は4.6個,葉身長は7.2cm,葉身幅は4.1cmで最も小さくなったが,施肥を行った区間に差は見られなかった。SPAD値(葉色)はマイクロロングトータル4g/鉢,6g/鉢がそれぞれ43.8,43.2となり最も大きく,ペレット状肥料Bは28.8,ペレット状肥料Pは30.1となり,葉色が薄くなった。開花日,開花までに要した日数に差は見られなかった。


以上の結果から,ヤマアジサイ’クレナイ’の5月上旬出し栽培では,マイクロロングトータル201-100タイプを定植約1ヵ月後に4号鉢当り4~6g施肥することによって,葉色の濃い高品質の鉢物を生産できることが明らかになった。
試験に用いた’クレナイ’は,比較的丈夫で草姿も良くまとまり鉢物化しやすい品種である。ヤマアジサイの品種によっては,草姿がまとまりにくく,花芽がつきにくいなど鉢物化する上で問題のある品種も存在する。品種選定に当たってはこれらの特性を踏まえることが重要である。
ヤマアジサイは前述のとおり,樹陰に自生する低木であり,夏の強光や乾燥に極めて弱い。夏季の育苗に当たっては適度に遮光し,底面給水栽培とするなどして水切れしないように注意することが重要である。しかし,品種によっては,遮光が強すぎると着花数が減少するものもあるため,品種の特性にあった管理が必要である。また,仕上げ鉢のサイズによって苗の大きさを変える必要があるため,育苗に当たっては栽培日程や施肥量を調整し,コンパクトで充実した苗を作ることが大切である。また,育苗時にわい化剤を使用して苗の徒長を防止するとともに花房数を確保することも必要である。促成栽培では,加温開始時点で苗の低温要求量が満たされている必要がある。筆者らの試験では,福岡県において西洋アジサイ品種は年内の低温で十分であるのに対して,ヤマアジサイでは1月下旬まで無加温のハウス内に置かないと低温量が不足することが明らかになっている。そのため,ヤマアジサイの促成栽培では,1月下旬まで無加温ハウス内で十分低温に遭遇させた後に加温を開始することが重要である。
多くの花の消費は品目,品種および商品化形態が多様化することによって拡大してきた。これまで,鉢物アジサイの需要は豪華な西洋アジサイを大鉢に仕立てることで「母の日」を中心に拡大してきた。しかし,大鉢のみの生産では,狭隘な住宅条件の下では置き場の確保が難しく,消費の妨げとなっている。ヤマアジサイがコンパクトで可憐な鉢物として活用されることが望まれる。一方,ヤマアジサイのほとんどの品種は, 自生地における変異を見出して品種化したものである。そのため,生産性に劣る品種が多い。とくに,夏の暑さに弱い特性は生産上問題となっている。
これらの課題を解決するために,福岡県ではヤマアジサイの可憐さと西洋アジサイの丈夫さを兼ね備えた,小輪多花性の新しいタイプのアジサイを開発中であり,すでに4品種を発表した。今後,より多様な品種が開発され,鉢物農家の経営安定に寄与することが望まれる。
●大場秀章.1989.
日本の野生植物 木本1.p.166-172.平凡社.東京
●鶴島久男.1972.
鉢花のプログラム生産2.主要鉢花の栽培技術.P.102-105.誠文堂.新光社.東京
●上町達也・新庄康代・北風有理・西尾敏彦.2002.
RAPD分析によるHydrangea macrophylla および H.serrata の系統分類.園学要旨.71 (別1):341
●松野孝敏・國武利浩・谷川孝弘・巣山拓郎・山田明日香.2008.
ヤマアジサイにおける着花特性に基づく栽培管理方法の確立.園芸学研究.7(2):189-195
熊本県あしきた農業協同組合
サラたまちゃん部会
部会長 田畑 和雄
熊本県の最南部,鹿児島県と隣接する水俣・芦北地域(図1)では,温暖な気候を生かし,早出したまねぎの栽培が盛んです(写真1,写真2)。超極早生・極早生・早生の6品種を駆使して,JAあしきた『サラたまちゃん』として2月中旬から7月上旬頃まで出荷が行われています。



みずみずしく辛味が少ないのが特徴で,サラダ用たまねぎとしてブランドの確立を図っています。また,青果だけでなく「サラたまちゃん和風ドレッシング」やタマネギ飲料「飲むサラたまちゃん」等の加工品(写真3,写真4)をJAで開発し,付加価値を高めて販売するようにしています。


当地域の「サラたまちゃん」は昭和36年に水田裏作として生産者10名,栽培面積80aで栽培が始まりました。昭和57年には15haを突破し,県の指定産地に認定されました。平成7年にはタマネギ選果場が完成し,調整・出荷作業の省力化・合理化が実現しました。また,平成9年度の第3回全国環境保全型農業推進コンクールでは,意欲的な経営や技術の改善に取り組み,地域の活性化に寄与していることが高く評価され,農林水産大臣賞を受賞しました。平成15年度に,「タマネギ部会」から「サラたまちゃん部会」へと改名し,組織強化を図っています。
北は北海道から地元熊本まで数多くの試食宣伝会を実施し,生産者自ら「サラたまちゃん」のアピールをしています。平成20年産の生産状況は,作付面積56ha,生産者121名,出荷量2,600t,販売金額約3億円でした。
消費者の方に安心して食べてもらえるように,除草剤を一切使わず,環境に配慮した栽培を行っています。部会員全員がエコファーマーであり,化学農薬や化学肥料の使用量も熊本県慣行レベルの2分の1以下の使用量で栽培し,特別栽培農産物として出荷しています。
「除草剤を一切使わない」というこだわりから,育苗床では太陽熱消毒を実施し,本圃では黒ポリマルチ栽培を実施しています。植え穴から発生する雑草は人力で除草し,通路や畦畔に発生する雑草は刈り払い機を利用して除草しています。
マルチ栽培技術を確立するにあたって,追肥が実施しにくいため,チッソ旭肥料(株)と共同で有機質肥料と被覆肥料をブレンドした「サラたまちゃん専用肥料」(写真5)を開発し全量元肥施用で栽培しています。当初は,LPコートと有機質肥料を組み合わせ,有機率70%の配合でありましたが,厳寒期を越える栽培のため肥料の溶出が不安定でしたので,現在は有機質肥料とLPおよびハイパーCDU肥料を組み合わせ有機率52%の肥料を使用しています。近年は植え付け時期まで高温が続き,暖秋暖冬傾向で推移するため,タマネギの生育が進みすぎ分球や抽苔などが多く発生していますが,ハイパーCDUを使用することにより,植え付け直後の肥効がゆるやかになり,品質も安定しています。

従来,施肥は全面全層に実施していました。しかし,生産者の高齢化および数の減少が進み,省力化が大きな課題となっていたこと,環境負荷軽減のために施肥量の減少が求められていたこと等から,平成17年度から県芦北地域振興局,JAあしきた,サラたまちゃん部会,熊本県野菜振興協会芦北支部が共同で「サラたまちゃん専用肥料」の局所施肥(条施肥および畦内施肥)の試験を実施しました。(図2,図3)


結果は,①畦内部(たまねぎの株下15cm)に条施肥することで,抽苔の発生が抑制され,品質も向上しましたが,収量がやや少なくなることがわかりました。②畦内施肥により施肥量を50%削減しても従来の施肥方法と同等の収量が得られましたが,抽苔が増加するため減肥率は30%が適当と考えられました。(表1,表2)


品質向上には条施肥が優れますが,条施肥を実施するには,馬力の大きいトラクターが必要です。水俣・芦北地域の圃場は基盤整備が遅れており,大型トラクターではかえって効率が悪くなってしまいます。そこで,(株)クボタと共同で,畦内施肥マルチャー(商品名:TA10畦内施肥畝マルチ)を開発しました(写真6)。小型(10PS)の管理機にマルチャーと施肥ホッパーを組み合わせており,狭い圃場でも1行程で施肥,畦立て,マルチの作業を実施します。現在当地域では23台が稼働しています。

「サラたまちゃん専用肥料」の施肥量を30%削減しても,慣行栽培とほぼ同等の収量を得ることが出来,おまけに通路に生える雑草の生育が抑制され,草刈りの労力が削減されました。また,通路の排水性が改善され病害の発生も少なくなったようです。
最近原油高騰に由来して,肥料やその他の資材価格が上昇しています。施肥量を削減したことにより,10aあたり肥料費を約7,000円削減することが出来ました。生産経費の増加を少しでも抑制できたことも,内施肥に取り組んで良かったと思っています。
水田でのタマネギ栽培では,水稲を作付けすることにより連作が可能でありますが,畑作の場合はそうはいきません。また,夏期に何も作付けしないと雑草が繁茂し,たまねぎ作での除草作業がたいへんです。そこで,緑肥の効果を期待して「ひまわり」の作付にも取り組みました。品種は景観種の「ハイブリッドサンフラワー」を用いました。たまねぎ収穫後の圃場に6月上旬には種すると,草丈1.5m以上に伸張し,8月のお盆の時期にきれいな花を咲かせてくれました。近所の保育園の園児も大喜びで「ひまわり迷路」(写真7)を楽しんでくれました。翌年のたまねぎの作柄も良く,畑圃場での土作りの一つとなっています。

大阪府環境農林水産総合研究所
主任研究員 内山 知二
花壇苗は培土の容量が少なく,灌水による肥料成分の流亡が多いため,肥効調節型肥料の利用が一般的になっている。最近の肥料価格の高騰を考えると,価格が伸び悩んでいる花壇苗生産において,より合理的な施肥方法が求められる。
ところで,花壇苗に求められる品質の一つとして徒長の回避,いわゆる「しっかりした苗」というものがある。花壇苗は消費段階では露地の過酷な環境条件に置かれることになるにも関わらず,生産現場の多くは施設内であり,養水分を潤沢に与えられて生育することが多い。この生育環境の落差を埋めて草姿を整える技術の一つが矮化剤の利用である。しかし,品目の多い花壇苗に対して,登録薬剤の数は少ない。
これらのことから,花壇苗生産においては薬剤だけに頼らずに,施肥によっても徒長を防ぎ市場評価の高い草姿を確保する必要がある。そこで,肥料成分の流出を抑えた環境負荷の少ない生産方法を確立するため,潅水方法の異なる栽培条件が肥料の溶出と草姿に与える影響について検討したので報告する。
花壇苗生産に多く用いられる3号ポット(直径9cm,用土容積250mL)に,用土(ピートモス5:パーライト3:花崗岩風化土2を容積比で混合)と以下に述べる肥料を入れ,①頭上スプリンクラー潅水(以下,頭上潅水),②底面マット潅水(以下,マット潅水),③底面腰水潅水(以下,腰水潅水)の3種類の潅水を行った(図1)。

このとき植栽せずに潅水後のポット重量と残存する肥料成分のうち硝酸態窒素含量を測定した。なお,用土には苦土石灰1.4gL-1を添加した。
ポットの用土中層に肥効調節型肥料(ロング424,溶出期間70日タイプ)または速効性化成肥料(N-P2O5-K2O=8-8-8)を窒素成分としてポットあたり0.14mg入れ,各々の潅水条件で1,2,14日間管理した後,用土中の硝酸態窒素含量を測定した。硝酸態窒素は,250mLの用土に500mLの水を加えて30分間往復震盪機で抽出して測定した。
1)で設定した用土に肥効調節型肥料(ロング424,溶出期間100日タイプ)を用土1Lあたり2.8,4.0,または5.2gを全層に混和した。ナデシコ(品種名:テルスター スカーレット)とパンジー(品種名:リーガルエロー)のセル成型苗を,前者は9月1日に,後
者は10月2日に定植した。
ナデシコは,10月30日に草丈,株張り,一番花の高さを,パンジーは,開花日に株張り,花首長,花径,分枝数を調査した。なお,栽培試験は無加温ガラス室で行い,矮化剤は使用しなかった。
ポットの含水量は,頭上潅水が他の区より常に大きく,潅水直後には,ポットあたり116gを吸水しており,続いてマット潅水の100g,腰水潅水の91gであった。潅水21時間後でも頭上潅水で97g,マット潅水83g,腰水潅水77gであった。潅水後の含水量は昼間は減少するものの,夜間はほとんど減少しなかった(図2)。これらのことから,いずれの潅水方法でも水分の減少は乾燥に伴う部分が多いと考えられ,肥料成分の流亡は用土の容水量を超える潅水に伴って起こることが示唆された。

14日関連続潅水後の用土に含まれる硝酸態窒素は,潅水方法にかかわらず,肥効調節型肥料区において速効性化成肥料区より多かった(図3)。潅水方法別では,肥効調節型肥料を施与した頭上潅水区では,経時的に増加したのに対し,速効性化成肥料区では減少した。このことは,速効性化学肥料は,特に頭上潅水し,容水量を超えたときに,流亡しやすいことを示している。

花壇苗については,確立した施肥基準はなく,鉢花の経験から類推したと思われる基準が用いられているのが実状である。しかし,鉢花以上に省力的な管理が求められる花壇苗生産においては多数の株を管理しなければならず,追肥重視の施肥法は非効率的であることから,肥料成分の溶出が予想できる肥効調節型肥料を全量基肥施用して,栽培管理することが望ましい。また,肥料成分を鉢外に出しにくい潅水方法との組み合わせを明らかにすることは環境保全型農業の推進上も重要である。
ナデシコの草丈は,頭上潅水よりマット潅水や腰水潅水で、徒長する傾向があった。また,一番花の高さも同様に頭上潅水<マット潅水<腰水潅水であった(表1)。施肥量の影響はいずれの潅水方法においても小さかった。

このため,ナデシコの草姿を改善するためには,頭上潅水を採用することが望ましいと考えられた。これは,今回用いた用土の場合孔隙が大きく,頭上潅水では上からの潅水によってポット内の孔隙量が少なくなり,他の潅水法に比べ徒長することなく,花壇苗に適したナデシコになったと考えられる。今後,ナデシコ苗生産のための好適な土壌物理性の条件を明らかにしていく必要がある。また,省力性や肥料成分の流亡に重点を置くのであればマット潅水に頭上潅水を併用するような方法を検討する必要があろう。
パンジーは,潅水方法が違っても株張りや花径に大きな違いは見られなかった。ただ,花首長は施肥量が多い場合にマット潅水や腰水潅水で長くなった。分枝数は,腰水潅水で、多くなる傾向があった(表2)。

このため,パンジーの草姿を改善するためには,潅水は腰水で分枝数を確保するようにし,施肥量は開花時期の許す範囲で抑制することが望ましいと考えられた。
出荷時の品質については前述のような結果が得られたが,花壇苗は鉢花と異なり,ポットを外して屋外で植栽されるため,品目や作型ごとにおおよその開花鑑賞期間が推定できる。そのため,液肥で出荷時に間に合わすようなぎりぎりの管理をしたのでは,出荷後の品質が不十分となる。それだけに,花壇苗生産においては,安定した肥効が期待できる肥効調節型肥料を用いた全量基肥施用技術の有用性は揺るがないものと考えられる。
<1月号>
§厳しい変革で明日の農業を
チッソ旭肥料株式会社
代表取締役副社長 竹田 博
§パン用小麦キタノカオリの葉色診断と施肥法
北海道農業研究センター根圏域研究チーム
チーム長 建部 雅子
§被覆尿素(LP)を用いたスイートコーンの全量基肥栽培
沖縄県農業研究センター
主任研究員 比嘉 明美
<2月号>
§茶園におけるDd入り被覆尿素の硝酸化成抑制効果
鹿児島県農業開発総合センター
茶業部 環境研究室
主任研究員 三浦 伸之
§小ギクの効率的施肥
沖縄県農業研究センター 野菜花き班
主任研究員 久場 峯子
§コマツナ・ホウレンソウの3作1回施肥における減肥栽培
埼玉県農林総合研究センター 園芸研究所
専門研究員 山崎 晴民
<3月号>
§被覆尿素肥料と草生栽培を用いたモモ園の環境保全型施肥管理
山梨県果樹試験場
環境部長 古屋 栄
§のり面緑化工の変遷について[5]
-生物多様性と外来生物法-1-
エコサイクル総合研究所
中野緑化工技術研究所
中野 裕司
§のり面緑化工の変遷について[6]
-生物多様性と外来生物法-2-
エコサイクル総合研究所
中野緑化工技術研究所
中野 裕司
<4月号>
§水稲中苗マット育苗におけるエコロング肥料の普及
北海道空知支庁 空知農業改良普及センター
空知南西部支所
地域第二係長 藤田 雅久
§稲麦二毛作地帯における水稲育苗箱全量基肥専用肥料「苗箱まかせ」によるプール育苗法(第2報)
宇都宮大学農学部附属農場
准教授 高橋 行継
(前 群馬県藤岡地区農業指導センター)
§チューリップ球根栽培の省力化について
富山県農業技術センタ一 野菜花き試験場
主任研究員 井上 徹彦
<5月号>
§水稲の湛水土中直播栽培における播種時期と省力施肥法
全農 福岡肥料農薬事業所
技術主管 脇本 賢三
§不耕起V溝直播栽培での施肥管理法
愛知県農業総合試験場 企画普及部 経営情報G
主任研究員 池田 彰弘
§茶園における効率的な施肥方法
静岡県茶業試験場
副主任 中村 茂和
(現在 静岡県畜産技術研究所 中小家畜研究センター)
<6月号>
§サトウキビの適正施肥量
沖縄県農業研究センタ一野菜花き班
主任研究員 久場 峯子
§肥効調節型肥料を用いた局所施肥がトマトの収量等に及ぼす影響
静岡県農林技術研究所 生産環境部
*小杉 徹 **中村 仁美
§白鳥神社と水田農業(追補)
-愛知県旧作手村(現新城市作手地区)の白鳥神社と水田稲作の関わりについて-
名古屋大学大学院生命農学研究科
浅川 晋 木村 眞人
農業環境技術研究所 小野 信一
<7月号>
§硝酸塩あれこれ(1)
元 農業環境技術研究所
越野 正義
§ナスの被覆尿素を用いた全量基肥施肥栽培
大分県豊肥振興局 生産流通部
影井 雅夫
(前 大分県農林水産研究センタ一 野菜茶業研究所)
§水稲ビニール・プール育苗法の改良に関する検討
宇都宮大学農学部附属農場
高橋 行継
(前 群馬県藤岡地区農業指導センター)
<8月号>
§硝酸塩あれこれ(2)
元 農業環境技術研究所
越野 正義
§肥効調節型肥料を用いたコムギ不耕起播種栽培
愛知県農業総合試験場 作物研究部 作物G
主任研究員 谷 俊男
§熔成燐肥覆土による水稲育苗箱全量基肥専用肥料「苗箱まかせ」の燐酸成分の補給
宇都宮大学農学部附属農場
高橋 行継
(前 群馬県藤岡地区農業指導センター)
<9・10月合併号>
§冬期湛水した休耕田の硝酸性窒素除去能力を評価する
静岡県農林技術研究所 生産環境部
指定試験主任 高橋 智紀
§ハイパーCDU利用による施設軟弱野菜の合理的施肥技術
大阪府環境農林水産総合研究所
主任研究員 内山 知二
§キュウリにおけるロング肥料を用いた植穴施肥栽培
宮崎県西諸県農業改良普及センター
川﨑 佳栄
宮崎県総合農業試験場
西原 基樹
横山 明敏
<11月号>
§被覆尿素肥料を用いた露地長期どりアスパラガスの効率的施肥
秋田県農林水産技術センター 農業試験場
生産環境部 土壌基盤担当
研究員 石田 頼子
§肥効調節型肥料による健苗育成と良食味米の生産向上
北海道美唄市農業協同組合 営農販売部米麦課
営農技術主幹 粟崎 弘利
§トンネル栽培「幸水」の被覆尿素を用いた効率的施肥法
熊本県農業研究センター果樹研究所
病虫化学研究室
研究主任 上村 浩憲
<12月号>
§マイク口口ングを用いたヤマアジサイの小鉢生産
福岡県八女地域農業改良普及センター
野菜花き課花き係長 松野 孝敏
(前 福岡県農業総合試験場花き部)
§熊本県水俣・芦北地域におけるサラダたまねぎ「サラたまちゃん」の取り組み
熊本県あしきた農業協同組合
サラたまちゃん部会
部会長 田畑 和雄
§花壇苗生産における肥効調節型肥料の利用
大阪府環境農林水産総合研究所
主任研究員 内山 知二
§2008年本誌既刊総目次